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宝石の豆知識 part4

今、日本で買う宝石が世界一安い?
宝石の原産地は
国際マーケット
世界で、宝石を産出している国は数多くあります。
その代表的な地域に、東南アジア、南米、アフリカ、オーストラリア、 アメリカ、ロシアなどがあります。

それらの国々からどのようにして我々日本人バイヤーは仕入れて 来るのか?

我々はほとんどの場合、原石を仕入れて来ません。
現地で宝石用にカットされた石を仕入れてきます。
これは、日本には原石をカットする技術がないのと、そのカット工賃の差(日本は高い)があるため、既にカットされた石を輸入してくるのです。

では、具体的にどうやって仕入れるのかを紹介します。

これは、私自身の経験談です。実際に15年以上海外に
宝石を買 い付けに行っております。

まず、その国の宝石マーケットに行きます。そこには現地の宝石ブローカーやら、鉱山から来た人々、また 世界中から来た宝石買い付け人たちが沢山います。 (あまり安全な場所ではありませんので、一般の人はほとんどいません)そこで、取引をするのです。

現地のブローカーが、私の所に宝石をロット(1山)で持って来て

「これらの石にお前は、いくら付ける?」

と聞いてくるのです。そこには、安い物から高価なものまでゴッチャに入った石の山があります。

私は、時には数時間かけて1個1個石を吟味してルーペを使い色やキズ、カットなどを見ます)、値段を付けます。
相手はいくらで売りたいか、言ってくれません。(聞いたところで何倍もふっかけて言われますので、時間の無駄です)

問題なのは、そこで交渉(商談)成立しないのです。彼らは、私の付けた値段(オーファー)を持って別の買い付け人の所へ行ってしまうのです。

そして、何人もの人間にオーファーを聞いて回り、その中で一番高く値段を付けた人間に売るのです。 (オークションのように)
そこには、日本人だけではなく世界各国からの買い付け人がいます。ヨーロッパ人も、アラブ人も、インド人も、アメリカ人も。

その中で、一番高い値段を付けないと仕入れが出来ないのです。
私が

「このロットを200万円で欲しい」

と言っても、他の国のバイヤーが250万円出せば、私には売ってくれないのです。
つまり「原産地=安い」とは必ずしも言えないのです。
宝石が安い?日本 日本は今、未曾有のデフレ状態が続いています。

今のこの状況を考えますと、高い値段では仕入れられません。私は、現地でほとんど仕入れることが出来なかっ た日本人バイヤーを何人も知っています。

矛盾する話ですが、
原産国よりも宝石をほとんど産出しない日本の方が、安く出回っている場合が多くあるのです。

これは、不況で経営が苦しくなった企業や、倒産してしまったお店などが放出した商品が市場に大量に出回ったり、宝石の需要と供給のバランスが崩れているからなのです。

ですから、現地ではとても考えられないような安い宝石が今の日本には、あるのです。
高い技術水準
安くなる工賃
日本の、宝飾品(指輪など)を作る技術水準は世界一と言っても過言ではありません。

キャスト枠(機械で作る鋳造枠)も目覚ましい速度で改良されています。作りも丁寧ですし、仕上がりも綺麗です。

しかしここ近年、中国、韓国、タイや遠くメキシコなどから宝石が入 ってくるようになりました。
問題は彼らの国の職人工賃が日本の10〜20分の1位なのです。
日本人1人の工賃に対して10人の人間が働けるのです。

おのずと、作られた製品が断然安くなります。技術はまだまだですが、凄まじい勢いで日本に迫ってきています。
プラチナの加工技術は日本がまだ世界一ですが、金の加工技術はあまり変わらなくなってきています。
我々日本人もそれに対抗するために工賃を大幅に下げらざるを得ません。
ずいぶんと安くなりました。 (ウチとしては苦しいところですが)
以上の現状により、安い宝石を安い工賃で作ることとなり、現在日本における宝飾品の値段は、世界一安いのではないかと私は思います。
適正価格以下であると思われます。これは今の時代何も宝石に限った事ではないかも知れませんが、本当に

「安くなったなー」

と痛感するこの頃でございます。

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宝石の豆知識part2(鑑定書鑑別書保証書?)へ行く
宝石の豆知識part3(新品と中古品の簡単な見分け方)へ行く
宝石の豆知識part5(手作り枠とキャスト枠)へ行く
宝石の豆知識part6(貴金属に使われる地金について)へ行く
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